第50章 纏わりつく醜聞

高級住宅街を抜けたところで、福田祐衣は氷のように冷たい声で命じた。

「車を止めて」

井上颯人は眉をひそめた。

「祐衣、お父さんに言われただろう。君を会社まで送り届けるようにって」

「結構よ、井上颯人」

福田祐衣は嘲るように笑った。

「義父さんたちの前で芝居をするのは百歩譲って許すとしても、これ以上続けるなんて、反吐が出ない?」

「祐衣!」

井上颯人は重々しく溜息をつき、顔いっぱいに自責と深情けを浮かべてみせた。

「僕は芝居なんてしていない。本当に君と離れたくないんだ」

「夫婦だったんだぞ。どうして僕たちの楽しかった日々のことを思い出してくれないんだ?」

福田祐衣は苛立ち...

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